Coca-Cola対Pepsi:マーケティング戦略比較

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ブランド認知度と消費者の関心を高めるために常にプレッシャーにさらされているCoca-ColaとPepsiのマーケティング戦略を掘り下げていきましょう。

目次

消費財ブランドの戦い

新型コロナウイルスが流行し始めた2020年、世界経済は大恐慌以来最も大きく衰退しました。

ロックダウンによってさまざまな事業が営業停止となり、特に影響を受けたのがバー、レストラン、イベント会場でした。McDonalds、Burger King、Subwayなど、有名チェーン店と多く提携しているCoca-Colaもその打撃を受け、売上は減少しました。Pepsiももちろん打撃を受けました。

2019年、Coca-Colaはブランド評価ランキングでリードしており、Forbes誌の世界で最も価値あるブランドにおいて、6位にランクインしたのに対し、Pepsiは29位でした。2021年になると、Coca-Colaはトップ100社のうち16位に転落し、Pepsiは圏外となりました。

ランキングが大幅に下落したにもかかわらず、Coca-Colaは44.9%の販売量シェアで、アメリカの炭酸清涼飲料(CSD)をリードするブランドとしての地位を維持しています。Pepsiは25.9%の販売量シェアで2位となっています。

コーラ商戦

Coca-Colaがコーラを開発したのは、Pepsiよりも10年弱ほど早かっただけですが、Coca-Colaは常に人気を上まわっていました。両ブランドは長年にわたって平和に共存してきましたが、1975年のペプシチャレンジは事態を大きく揺さぶりました。

開始当初の1975年にはなかったTwitterが、現在は活用されています。ペプシチャレンジは時代と共に変化しました。

マーケティング戦略だと捉えた人もいましたが、ペプシチャレンジはもともと目隠しの「利きコーラ」テストでした。このテストから、なんと消費者はCoca-ColaよりもPepsiの味を好んでいることがわかりました。Coca-Colaの輝かしい栄光はくすみ、市場シェアが低下することになりました。

そこで登場したのが、ダイエットコークとノンカフェインのコカ・コーラです!

消費者はダイエット版とノンカフェイン版を歓迎しました。しかし、Pepsiと直接競合するために、従来の味を変えた新しいコーラを発売すると、消費者は即座に拒否反応を起こしました。

3ヶ月後、Coca-Colaは従来のレシピに戻しました。最悪の事態を回避し、昔ながらの味に戻ったことに消費者は喜びまたは安心し、Coca-ColaはPepsiの年間売上を上回り続けました。

自社製品が間違った方向に進んで行くことを回避するには、消費者インサイト戦略を練りましょう。

SNS

SNSはどちらのブランドにとっても、飲み物を求める若者層にブランドコンテンツを届けるための重要なチャネルです。

両社とも、ティーン向けのバンドや有名人を活用した宣伝に多額の投資をしています。若い世代がネット上でポップアイドルをフォローしたり、コメントしたりすることを楽しんでいることから、この戦略は効果を生んでいると思われます。Coca-ColaはFacebookで1億900万人のファンを誇り、一方Pepsiは3,700万人のファンがいます。

SNSのエンゲージメントについて、世界と北米でのシェアオブボイスに注目すると、2つの異なる状況がわかります。

世界規模で見る

Coca-Cola vs Pepsi:世界規模のメンション数 | 2018年2月10日~2019年2月4日

2018年の世界規模での比較 - 有名人を起用した強力な宣伝とワールドカップのおかげで、Coca-ColaはSNSでのシェアオブボイス(SOV)が一年をとおして上回りました。

2018年ワールドカップ開催前に、Coca-Colaは新たなブランドアンバサダーとして、韓国の男性アイドルグループ、BTSを起用することを発表しました。そのニュースは61万5,000件以上のメンションを生み、SNSでその年最大のバズを起こしました。

一方Pepsiは、2018年初めに行われた韓国の男性アイドルグループ、YDPPとのコラボ、およびカーディ・Bを起用した2019年スーパーボウルの広告によって、SNSで大きなインパクトを生み出しました。

世界規模では、Coca-Colaは2018年2月から2019年2月の間に1,220万件のブランドメンションと、1億1,720万件のエンゲージメントを生み出しました。一方、Pepsiは780万件のブランドメンションと7,520万件のエンゲージメントを生み出しました。

この事例から、Pepsiのブランド活動よりもワールドカップとBTSの方がより広範囲のオーディエンスに訴求できることがわかります。

アメリカで見る

Coca-Cola vs Pepsi:北米でのメンション数 | 2018年2月10日~2019年2月4日

北米で見ると、Pepsiはスーパーボウルのおかげでメンション数において勝利しましたが、Coca-Colaは一年にわたってエンゲージメントにおいて優勢でした。

アメリカではワールドカップの影響はかなり低いですが、BTSの人気によって、Coca-Colaとのタイアップ開始時に26万2,000件のメンションを呼びました。 

Pepsiはカーディ・Bの広告発表で、2019年のスーパーボウルの開催中にCoca-Colaのネットでの存在感を一掃し、マルーン5のパフォーマンスで話題になったPepsiハーフタイムショーは、同社に38万7,000件のメンションをもたらしました。

アメリカでは、2月18日から2月19日にPepsiが400万件のメンションと3,980万件のエンゲージメントを生み出し、一方Coca-Colaは370万件のメンションと5,920万件のエンゲージメントでした。

この数字から、Coca-Colaは1回のメンションに対してPepsiより多くのシェアや「いいね」を生み出していることがわかります。これはマーケティング施策による成果です。国際スポーツイベントやポップバンドに投資するという戦略は、Pepsiのスーパーボウルでの1日だけのヒットより、アメリカで大きなバズを生み出すことを証明しています。 

Pepsiにとっては厳しい結果となりました。

世界規模およびアメリカのどちらにおいても、有名ミュージシャンによる宣伝は、両ブランドにとって重要なSNS推進力があり、大規模イベントや新製品の発売よりも大きなインパクトがあります。

両社とも同じ戦略をとっています。すべての世代に共感を与える主要なスポーツイベントを協賛することや、そういったイベントをKポップやラップミュージシャンによる宣伝と組み合わせて、Z世代におけるバイラルをあおります。

SNS活動の成果を報告することは、何が成功し、何がうまくいっていないのかを理解するために、チームにとって大変重要です。また、成果を上司に報告することで、SNS戦略がROIをもたらしていることを証明できます。

競合分析

2021年11月から2022年1月の期間は、業界のシェアオブボイスでCoca-Colaが勝利し、Pepsiがそれに次いでいます。Coca-Colaはまた、ほとんどの市場で優位にあり、Pepsiはアジア市場でより大きな存在となっています。

Period from November 2021 to January 2022 shows that share of voice in the industry went to Coca-Cola

Coca-Colaは世界規模のシェアオブボイスで勝利していますが、アジアではPepsiが優勢です。

すべての世代にヒット

炭酸飲料ブランド両社の戦略は、Pepsiの明らかなアメリカ重視、Coca-Colaの国際的なアプローチを特徴として、拮抗した守りの戦略と言えます。

両社とも、ワールドカップやスーパーボウルのイベントでカテゴリー内独占権を買い上げるのは、大衆にブランドメッセージを伝えるだけではなく、その威信のためです。いずれも犠牲を払う構えはありません。

しかし、重要な側面がもう1つあります。

サッカーやアメフトのイベントは、すでに飲料の好みが確立している30代以上の顧客をターゲットにしたブランド投資です。スポーツイベントの協賛は単なる名目で、商戦の高価な舞台だと言えるでしょう。真の戦いは、SNSに精通し、嗜好がまだ定まっていない4歳から24歳のZ世代をめぐって起こります。

ブランドがZ世代とつながる鍵。Kポップ男性アイドルグループ、BTSのメンバーによるCoca-Colaの演出。

Kポップによるブランドの宣伝には高い価値があります。大衆を魅了するエモーショナルコンテンツとして利用できます。2018年ワールドカップで活用されたCoca-ColaのBTSとのタイアップは、グローバルマーケティング計画の鍵となっています。

アメリカで圧倒的に人気のあるイベントであっても、知名度の劣る男性アイドルグループや若いスターを出演させることでは、Pepsiは同様のブランド促進効果を得ることはできません。

ラッパーのカーディ・BによるPepsiの宣伝は、2019年のスーパーボウルにおいて大きなバズを起こしましたが、前年に比べて効果はありませんでした。

カーディ・BがツイートしたPepsiの2019年スーパーボウルの宣伝の予告は、ブランドに強力な機運を生み出しました。

健康とサステナビリティ

会話クラスターとテーマクラウドは、業界やトピックに関する全体的なテーマを特定し、何が消費者の最も高い関心事なのかを理解するのに役立ちます。また、起こりつつあるトレンドも見つけることができます。

You may find our food industry trends report - Twitter Birdseye Report - a useful read.

2022年1月の会話クラスター

2022年1月の会話クラスター
運動能力と健康に関する懸念がトピックの大部分を占めています。

炭酸飲料業界に関して行われている消費者の会話において、運動能力と健康に関する懸念が大きな割合を占めています。その下で環境、社会、文化に関するトピックが話されています。

Soda industry themes and brands - Coke vs Pepsi

炭酸飲料業界のテーマとトップブランド

健康的なライフスタイルを望む声は、製品の特性に活かすべきテーマです。特に砂糖などの原材料が多く話されています。

Share of product attributes and sentiment - Coke vs Pepsi

ポジティブなセンチメントはフレーバーに関する会話で多く、続いてパッケージのサステナビリティとなっています。

ポジティブなセンチメントは、フレーバーの話題で多く見られます。また、サステナビリティに関する製品パッケージの会話と、リサイクルできないプラスチックに対する反感も含まれています。

トーンオブボイス

ブランドは競争に勝つために、ブランド独自のアイデンティティを維持しなければなりません。そのため、Coca-ColaとPepsiにはそれぞれ独自のトーンオブボイスと言葉遣いがあります。

Coca-Cola

Coca-Colaは、はしゃいでいる子犬のように、ハッピーで、おしゃべりで、遊び心のあるトーンです。

コミュニティや連帯感を重要視し、オーディエンスに向かって「私たちはみな仲間」であるように話しかけます。

パンデミックへの適応を余儀なくされるとともに、ブランドはまた、社会正義の問題にどのように対応するのか、そもそも対応するのかどうかを検討しなければなりませんでした。Black Lives Matter運動などが良い例です。PepsiはCoca-Colaと異なり、この問題を無視することはしないものの、一歩距離を置いて対応しました。

Coca-Colaは運動促進のコンテンツをシェアするだけでなく、率直な心情も表現し、常に支援と寄付を行っています。

Coca-ColaのSNS戦略は、コミュニティを楽しませたり、支援したりすることを中心に据えています。

Pepsi

PepsiはSNSでの宣伝促進コンテンツに力を入れています。コンテスト、プロモーション、イベントの協賛、パートナーシップなどについて投稿しています。

スーパーボウルのハーフタイムショーの協賛では、大きな後押しを獲得しています。

また、Pepsiは料理と一緒に楽しむ飲料として売り込むために、定期的にレシピを投稿しています。

いかにも宣伝といったトーンにならないよう、Pepsiはくだけた言葉遣いでオーディエンスとおしゃべりするように話しかけます。

Coca-Colaとの違いをはっきりさせるため、Pepsiは(ネガティブな意味ではなく)少し大人っぽいブランドペルソナを設定しています。

ビジュアル分析

画像認識で分析すると、2021年11月から2022年1月の間、Coca-ColaとPepsiは業界で最も広く投稿されたロゴでした。

Using image recognition, between Nov 21 and Jan 22, Coca-Cola and Pepsi are the most prevalent logos in the industry.

画像認識を使用すると、投稿内のテキストによるメンションとは関係なく、ロゴを特定できるほか、シーンやオブジェクトの情報によって背景情報も理解できます。

ハッシュタグ対決

Pepsiは2019年のスーパーボウルにおいてハーフタイムショーに500万ドル投資することで、#PepsiHalftimeのハッシュタグは16万2,000件のメンション、#Pepsiは1万4,200件のメンション、#PepsiMoreThanOKは5万1,100件のメンションを獲得し、プラスの効果を達成しました。ブランド名のメンションは22万7,300件に上りました。#PepsiHalftime won the branded hashtag battle during the 2019 Super Bowl.

ブランド名が付いた#PepsiHalftimeは2019年のスーパーボウル開催時に大きく拡散されました。

Coca-Colaのワールドカップへの投資は、ブランド名付きハッシュタグという点においては、ファンの多くがBTSのタグ付けに夢中だったために、直接目に見えるインパクトは比較的少なかったです。#CocaColaは4万3,400件のメンション、#BTSxCocaColaは1万4,800件のメンションを獲得しました。コンテンツのハッシュタグ#TrophyTourのインパクトは弱く、大衆には解釈が難解すぎたようです。

Hashtags mentioning BTS were predominant during the 2018 World Cup, stronger than Coca-Cola branded hashtags.

2018年のワールドカップでは、BTSをメンションするハッシュタグが圧倒的に多く、Coca-Colaのブランド名付きハッシュタグよりも強力でした。

Pepsi vs Pepsi | 2018年 vs 2019年

過去2回の大会におけるPepsiとスーパーボウルのメンション数 | 世界 過去13ヶ月

2019年よりも、2018年のスーパーボウルでPepsiはブランドのメンションで大きなインパクトを与えることができました。

2018年のスーパーボウルでの大きなインパクトは2019年の同イベントの2倍近いものでした。2018年、ジャスティン・ティンバーレイクのパフォーマンスが世界中で41万4,000件のメンションを獲得してピークに達した一方、カーディ・Bの広告はメンション数が21万1,000件にとどまりました。

こうした結果は、Pepsiが2019年にSNSで達成したROIが2018年よりも低かったことを示しています。政治的または文化的な要素、もしくは競争要因など、さまざまなことがインターネット上でのブランドのボイスに大きな影響を与えるため、同じような予算でもSNSの効果が大きく違ってくることがあります。

ワールドカップ vs スーパーボウル

これから分析する情報は、少し古いものではありますが、ワールドカップは4年ごとの開催で次は2022年末なので、2018年の同イベントでの炭酸飲料ブランドの協賛を考察することは、有用な比較分析になります。

 Coca-Colaは国際サッカー連盟(FIFA)と長年の関係を持ち、ワールドカップは1978年から協賛しています。一方、Pepsiは2002年からNFLと関係を持っています。

公開データによると、2018年のワールドカップの第1週目では4億5,900万件の投稿、いいね、コメントがFacebookで行われ、2018年のスーパーボウルでは1億8,500万件のインタラクションがありました。

Coca-Colaは投資回収能力に優れています。同ブランドと2018年ワールドカップに直接関連した累積ブランドメンション数76万6,000件、エンゲージメント1,110万件を生み出し、合計エンゲージメントROIは0.18エンゲージメント/$でした。

PepsiのNFLとの20年間にわたるパートナーシップ料は、推定で年間9,000万ドルで、同社のすべてのブランドを含んでいます。約25%(2,250万ドル)が旗艦ブランドのPepsiに流れ、その合計額の50%がスーパーボウルのバズに使われています。つまり、Pepsiのブランドに対するコストのうち年間1,125万ドルがスーパーボウルのみに割り当てられています。

2019年はさらに、30秒のPepsi広告放送費用が525万ドルかかりました。そしてハーフタイムショーの独占スポンサー料は約500万ドルです。この結果、スーパーボウルへの推定純投資価格は、製作費用や有名人の広告費用を除き、2,170万ドルとなります。

2019年のスーパーボウルによってPepsiは、アメリカのメディアが試合を報道した30日間で、ブランドとイベントに直接関連して26万1,100件のメンションと160万件のエンゲージメントを獲得し、合計エンゲージメントROIは0.07エンゲージメント/$でした。

Coca-Colaのワールドカップへの投資と比較すると、PepsiはSNSでのROIに対して、スーパーボウルの協賛に莫大な投資をしていることがわかります。アメリカのSNS市場においてCoca-Colaと対抗するためには非常に大きいコストがかかります。

この大試合の最新分析とインサイトは、第56回スーパーボウルのレポートでチェックできます。

まとめ

  • グローバルなブランドが全世代を網羅するための鍵は、堅実な360度のマーケティング計画遂行と、中高年者受けするフレーム(スポーツ)と若年者受けするコンテンツ(音楽)の賢い組み合わせです。

  • 貴社がグローバルなブランドであれば、特定の国での市場シェアを守るために国民的関心事で勝負するのも良いでしょう。世界全体への包括的アプローチは、特定の市場に対しては必ずしも適切とは限りません。

  • 大企業であるほど、より守勢になります。拮抗している競合他社の動向や、顧客の反応を常に追跡および理解することは、マーケティングに不可欠です。

  • ハッシュタグ戦略は単刀直入であるべきで、ブランド名のないハッシュタグは、ブランドにとって危険なゲームとなる可能性があります。

  • スポーツイベントに関連した有名人による宣伝はライフスタイルブランドには効果があるかもしれませんが、その他の要因がブランドのメッセージを妨げることもあるため、効果はイベントによって大きく異なる可能性があります。この場合、是正の手段を講じるために、適切に状況を監視する必要があります。

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